放置車両・放置自転車にまつわるトラブルやクレームにどう対処する?

放置車両・放置自転車にまつわるトラブルやクレームにどう対処する?

こんにちは、マリモコミュニティがお届けするマンション管理コラムです。

駐車場でのトラブルは様々ですが、長期にわたって多くの不利益を被るのが放置車両の問題ではないでしょうか。
「見た目が悪い!」「管理が悪い!」「危ない!」と住民からクレームとなりやすいこの問題は、管理側にとっては不可抗力であっても、実際、民事的に管理側の責任が指摘された事例もあるようです。放置車両に絡むクレーム2件と、その対処の参考事例をご紹介します。

ケース1 放置車両の周りで子どもが遊んでしまう。危ないので何とかして欲しい

引っ越しの残置物となってしまった車両や、外部からの投棄車両が、長期にわたり駐車スペースに放置されているケースです。
すぐに撤去できればクレームが起きることも少ないのですが、私有地に放置されたものは、法的な手続きなしで敷地外に運び出すことはできません。警察も不介入で、強行に撤去すれば、逆に損害賠償請求される場合もあります。
そのため必ず以下の手順を踏み、法的根拠にもとづいた対応をおすすめいたします。

  1.  必要情報を記録する(放置発生日時、場所、車体情報など)
  2.  所有者を特定して駐車場の明け渡し請求を行う
  3.  所有者が求めに応じない場合は、当該裁判所に提訴し、判決を取得する

この間の管理業務で重要なのは、ガソリン漏れ、放火、盗難、放置車両の破損等で住民がケガするような二次トラブルが起こらないよう注意することです。
貼り紙やバリケードなどで注意喚起を促し、特に車の周辺で子供が遊んでいないかなど、定期的な巡回を行うことも有効的です。

※放置車両が軽自動車であった場合、道路運送車両法第4条で軽自動車について自動車登録ファイルへの登録の対象から除外されているため、情報の取得が困難な場合があります。まずは張り紙等をワイパーに挟むなどして警告の事実を重ねつつ、所有者の特定は弁護士に委託することをおすすめします。

ケース2 古い放置自転車が倒れてケガをしてしまった。これは管理責任ではないのでしょうか?

実際にあったケースで、古い放置自転車と接触した住人がケガをし、その駐輪場の一部が暗いことも問題になり、使用契約にある「安全配慮義務の不履行」という指摘があったそうです。
当然、古い放置自転車の持ち主は特定できず、管理組合だけが民事的に事故を誘因する状況をつくってしまった管理責任を問われ、自転車の処分と共に駐輪場に電灯を増やすことになりました。日頃から暗いという指摘もなく、管理側にとっては思わぬ落とし穴でした。

自転車の処分についても、処分は所有者が行う行為であり、勝手に処分した場合、法の原則である「自力救済の禁止」に基づき、不法行為による損害賠償にて、訴えられる可能性があります。まずは所有者の特定を行ない、みつからない場合は、遺失物として警察に届出を行ない、遺失物法に従って所有権を取得した上で処分をするなど、慎重な対応が必要となります。

まとめ

今回は、放置車両(自転車)に関係するクレームをご紹介しました。
加害者がいないトラブルの場合、感情としてやり場のない怒りの矛先が管理側に向けられることが多くあるようです。
日頃から住民とのコミュニケーションを取り、不満点や改善点など把握しておくことで、未然にクレームの回避に繋がります。

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